空調・排気・集塵・産業装置の設備では、ダクトのサイズや形状が途中で変わる場面が必ずといっていいほど発生します。その「変換点」を成立させる部品が「レデューサー」です。

既製品のレデューサーはスパイラルダクト(丸→丸)向けが中心で、角ダクトの絞り込みや、角から丸への変換(角丸レデューサー)は特注製作が基本になります。しかしこうした特殊形状のレデューサーに対応できる板金工場は少なく、「どこに頼めばいいか分からない」という声を多くいただきます。

本記事では、ダクト用レデューサーの種類・用途・設計のポイントを整理した上で、特注製作の依頼方法と渡辺工業の対応力をご紹介します。

製作事例 レデューサー

レデューサー
レデューサー
Φ423.2→Φ300 L=325
レデューサー
レデューサー
Φ423.2→Φ370 L=325
レデューサー
レデューサー
Φ423.2→Φ200 L=325

レデューサーとは

レデューサー(Reducer)は「断面サイズや形状を変換する継手・変換部品」の総称です。ただし、同じ「レデューサー」という言葉が分野によって異なるものを指します。

分野指すもの
配管分野径違いパイプを接続する継手(同心・偏心レデューサーなど)
ダクト分野ダクトの断面サイズ・形状を変換する部品(本記事の対象)
機械分野減速機(ギアレデューサー・スピードレデューサー)
光学分野望遠鏡用フォーカルレデューサー(本記事の対象外)

本記事ではダクト設備で使われる「ダクト用レデューサー」に特化して解説します。「レデューサー 特注」などで検索すると機械・配管分野の情報が混在することがありますが、ダクト用の板金製作を探している場合はご注意ください。

ダクト用レデューサーの種類

ダクト設備で使われるレデューサーは、変換する形状の組み合わせによって大きく4種類に分けられます。

① 角→角レデューサー(矩形→矩形)

断面が角形のまま、サイズだけを変換する形状です。大断面から小断面へ絞り込む「ホッパー形状」とも呼ばれます。4枚の台形〜三角形のパネルを組み合わせた構造で、展開は比較的シンプルです。

  • 用途例:工場排気ラインの幹線→支線の分岐絞り込み、空調ダクトのサイズ変換
  • 板金難易度:★★☆(フランジ面の平面度確保が鍵)

② 丸→丸レデューサー(円形→円形)

スパイラルダクト同士を接続する、最も流通している形式です。既製品も豊富ですが、既製サイズに合わない径の組み合わせや、偏心させる必要がある場合は特注製作になります。

  • 用途例:集塵機接続部、送排気ファンとダクトの接続
  • 板金難易度:★☆☆(同心品) / ★★☆(偏心品)

③ 角→丸レデューサー(矩形→円形)/ 丸→角レデューサー

最も特注製作の需要が高く、かつ対応できる工場が少ない形状です。角形から円形(またはその逆)に変換する「角丸レデューサー」は、3次元的に歪んだ面の集合体になるため、展開図の設計と成形に高度な技術が求められます。詳しくは後述します。

  • 用途例:送風機・ファンの吐出口と角ダクトの接続、集塵機入口の変換継手
  • 板金難易度:★★★(本記事最大の解説対象)

④ 偏心レデューサー

変換前後の中心線がずれた(オフセットした)形状です。設備の取り付け面の制約や、ダクトルートのクリアランス上の都合で偏心が必要になるケースがあります。同心・偏心を問わず、角→丸の変換形状には特注製作が必要です。

  • 用途例:床面フラットを保ちながら上方へルートを変更したい場合、壁貫通部の位置合わせ
  • 板金難易度:★★★(同心品よりさらに展開が複雑)

レデューサーが必要になる場面

実際の設備でレデューサーが必要になる代表的なシーンを整理します。

① 送風機・ファンとダクトの接続

送風機の吐出口が丸形なのに対して、既存のダクトラインが角形になっているケース(またはその逆)は非常に多く発生します。この「異形変換」を担うのが角丸レデューサーです。ファンの吐出口サイズ・ダクトの接続口サイズ・取り付けスペース(テーパー長)の3点が決まれば製作仕様の設定が可能です。

② 設備更新・改修時のサイズ橋渡し

既存設備の一部機器を更新した際、新旧部品のダクト接続口のサイズや形状が一致しないことがあります。この「サイズの橋渡し」を一品ものの特注レデューサーで解決するケースは、製造業・食品・研究施設など幅広い分野で発生します。

③ 断面の絞り込み・拡大(圧力損失の最小化)

大断面から小断面へ急激に変換すると圧力損失が大きくなり、送風能力の低下・騒音の発生につながります。テーパー長(変換部分の長さ)を適切に設計することで、流体の急激な断面変化を避けることができます。特注製作では、設置スペースの制約と流体特性の両方を考慮したテーパー長の設定が重要です。

④ 複数ダクトの合流・分岐点

複数の径や形状のダクトが合流・分岐する箇所には、それぞれの接続口に合わせたレデューサー形状が必要になります。一式でまとめて製作することで、接続精度と気密性の整合が取りやすくなります。

角丸レデューサーが難しい理由|なぜ対応工場が少ないのか

「角丸レデューサーを頼もうとしたら断られた」という声は少なくありません。その理由は、製作工程の複数の段階で高度な技術が必要になるからです。

難しさ①:展開図の設計

角ダクトを平板に展開する計算は比較的シンプルです。丸ダクト(スパイラル)の展開も数学的に整理できます。しかし「角形から円形に変換する」形状は、純粋な平面でも純粋な曲面でもない、3次元的に歪んだ面の集合体になります。

この展開を正確に行わなければ、組み上げた際にR面(丸い部分)の合わせ目が浮いたり、角部に隙間が生じたりします。展開計算を手計算やCADで正確に処理できる技術者・設備が必要です。

難しさ②:成形工程

角丸レデューサーの各パーツは、平板・曲面・複合曲面が混在します。ロールプレス・ベンダー・ハンマーなどを使い分けながら、3次元形状を正確に成形しなければなりません。薄板(t1.0〜t1.6程度)での成形は特に精度出しが難しく、寸法のくせが出やすいです。

難しさ③:溶接と歪み管理

展開・成形が正確でも、溶接工程で熱歪みが入るとフランジ面の平面度が確保できなくなります。フランジ面が平らでないと、次の部品との接続部に隙間が生じ、気密が取れません。

TIG溶接と半自動溶接を適材適所で使い分け、仮止め順序や溶接進行方向の工夫によって歪みを最小限に抑える経験とノウハウが必要です。

難しさ④:フランジ加工の精度

レデューサーの両端に取り付けるフランジは、相手側ダクトやファン吐出口の穴位置・平面度と一致させる必要があります。フランジの穴ピッチがずれていると現地で組み付けできなくなるため、製作精度と確認工程が重要です。

特注レデューサーの設計・発注で押さえるべきポイント

1.変換前後の形状と寸法

何から何へ変換するのか(角→丸・角→角・丸→丸など)、それぞれの断面寸法(幅×高さ、または径)を伝えることが基本情報です。正式な製作図がなくても、手書きのポンチ図や寸法メモで対応できるケースがあります。

2.テーパー長(変換部分の全長)

変換部分の長さが短いほど圧力損失が大きく、騒音が発生しやすくなります。設置スペースとの兼ね合いで決める必要がありますが、一般的には「変換差寸法の1.5〜2倍程度」を目安にすることが多いです。

3.素材と板厚

使用環境・流体の種類によって最適な素材は異なります。

素材主な用途・特徴
SUS304一般排気・空調・集塵。耐食性と加工性のバランスが良い標準素材
SUS316食品・医療・薬液設備。より高い耐食性が必要な環境向け
ガルバリウム鋼板一般空調・外気系統。コスト重視で耐食性も確保したい場合
アルミ(1000〜6000系)軽量化重視・クリーン設備。溶接が必要な場合は5000系が主流
鉄(SPCC)塗装前提の一般用途。コスト優先のケースに

板厚はt1.0〜t2.0が多く、強度・重量・溶接性のバランスで決めます。ダクトサイズが大きいほど、撓み防止のためにリブや補強を入れることがあります。

4.フランジの形状と接続方式

フランジ付きの場合、穴位置・穴径・フランジ幅が接続先と一致している必要があります。既存設備に接続する場合は、現物の寸法確認(または相手フランジの図面)が製作精度を高めます。フランジなしの差込み形式や、ビス留めフランジなど、接続方式も事前に確認しておきましょう。

5.気密性の要件

粉体・蒸気・有機溶剤など漏れが許されない流体を扱う場合は、溶接の連続性(断続溶接でなく全周溶接)と、フランジ面の精度が特に重要になります。気密試験の要否についても事前に伝えておくとスムーズです。

渡辺工業のレデューサー製作の強み

渡辺工業(茨城県筑西市)は、創業50年以上にわたって薄板板金・溶接加工に特化してきたメーカーです。鉄・アルミ・ステンレスを主体とした溶接技術を強みに、角ダクト・角丸ダクト・レデューサーなどの設備部品を多数製作してきた実績があります。

強み①:角丸変換レデューサーの一貫製作

展開図の設計から成形・溶接・フランジ加工まで、すべて社内で一貫対応します。外注工程が増えると精度のブレや納期ロスが発生しやすくなりますが、渡辺工業では工程間の連携で接続精度と気密性を担保しています。

強み②:溶接歪みを抑える技術力

薄板ダクトの溶接で最も難しいのが「歪み(変形)」です。TIG溶接と半自動溶接の使い分け、仮止め順序の工夫により、大型のレデューサーでもフランジ面の平面度を確保した仕上げが可能です。

強み③:図面なしでの相談・製作対応

「こういうものが欲しいが図面がない」という段階でも、ポンチ図・ラフスケッチ・現物サンプルをもとに製作用図面を起こしてご提案します。設備の取り付け寸法と接続口の形状・寸法が分かれば、まずはご相談ください。

強み④:ダクト一式・関連部品の同時製作

レデューサー単品だけでなく、角ダクト・丸ダクト・エルボ・フランジを含む設備一式の製作にも対応しています。発注先を分けるよりも、形状管理と接続精度の整合が取りやすく、現場での組み付けトラブルを減らせます。

対応素材と製作事例

対応素材

鉄(SPCC/SS400)・SUS304・SUS316・ガルバリウム・アルミ(1000系・5000系・6000系)

対応板厚

t0.8〜t3.2(素材・用途による)

図面対応

正式図面・ポンチ図・現物サンプルから製作用図面を起こして対応

製作事例仕様
送風機接続用 角丸レデューサーSUS304 / □300→Φ200 / テーパー長250mm / フランジ付き
集塵機入口 偏心角丸レデューサーガルバリウム / □400×200→Φ250 / 偏心 / フランジ付き
食品設備 角→角 絞り込みレデューサーSUS316 / □600×400→□300×200 / 電解研磨仕上げ
研究設備 ドラフト用 丸→角変換アルミ(A5052) / Φ150→□100×100 / 内面仕上げ
印刷工場 排溶剤設備用 角丸レデューサーガルバ / □250→Φ200 / 全周溶接 / 気密対応
製造装置 角ダクト絞り込み一式SUS304 / 直管・エルボ・レデューサー含む設備一式製作

発注・相談の流れ

初めてのご相談でも以下の情報があればスムーズに進めます。準備が難しければ、分かる範囲でお気軽にお問い合わせください。

ステップ内容・ポイント
① 変換形状の確認角→丸・角→角・丸→丸・偏心の有無など基本形状を決める
② 寸法の確認変換前後の断面寸法(幅×高さ or 径)とテーパー長
③ 素材・板厚の確認使用環境・流体・気密要件から素材選定
④ フランジ仕様の確認相手側接続口の穴位置・フランジ幅(現物 or 図面で確認)
⑤ お見積り・図面提出製作用図面を起こしてお見積り提示。ポンチ図からでも対応可
⑥ 製作・納品一貫製作のため工程間のブレが少なく、高精度で納品

レデューサーの製作なら渡辺工業

レデューサーはダクト設備の「形状・サイズの変換点」を成立させる重要な部品です。特に角→丸の変換が必要な「角丸レデューサー」は、展開設計・成形・溶接・フランジ加工の各工程に高い技術が必要なため、対応できる板金工場が限られています。

渡辺工業では、50年以上の薄板板金・溶接の実績をもとに、角丸変換レデューサーの特注製作を展開設計から一貫して対応しています。正式な製作図面がない段階でも、ポンチ図や現物をもとに製作用図面を起こすことが可能です。

レデューサーの特注製作・ダクト一式の製作は、渡辺工業にお気軽にご相談ください。