Contents
本当に溶接が必要なのか
という視点から考える
失敗しない業者選び
アルミ溶接は、金属加工の中でも難易度が高い分野として知られています。実際に、アルミ溶接を外注して「思った通りにいかなかった」「歪みが大きかった」「強度や外観に問題が出た」という経験を持つ方は少なくありません。
特に薄板アルミになると、その難しさは一気に増します。見た目は溶接できているように見えても、後から変形が出たり、精度が出なかったりと、問題が表面化するケースも多くあります。
渡辺工業では、薄板アルミの板金加工と溶接を長年手がけてきました。その中で強く感じているのは、アルミ溶接の難しさは「溶接技術」だけの問題ではないということです。設計段階での考え方や、接合方法の選択そのものが、結果を大きく左右します。
本記事では、アルミ溶接が難しい理由を整理しながら、本当に溶接でなければならないのか、リベットやボルト接合ではだめなのかという視点も含めて解説します。そのうえで、薄板アルミ溶接に本気で向き合っている業者をどう見極めるべきかをお伝えします。
アルミ溶接が難しいと言われる理由
アルミ溶接が難しい最大の理由は、素材そのものの性質にあります。アルミは熱伝導率が非常に高く、溶接時に熱が一気に広がります。そのため、狙った部分だけを安定して溶かすことが難しく、入熱のコントロールが極めてシビアになります。
さらに、アルミは表面に酸化被膜を形成します。この酸化被膜は非常に融点が高く、適切に処理されていないと、溶接しているように見えて実際には十分に接合できていない状態になります。見た目だけでは判断できない不良が起きやすいのも、アルミ溶接の特徴です。
これらの特性により、鉄やステンレスと同じ感覚で溶接すると、歪みや溶け込み不足、外観不良といったトラブルが発生します。
薄板アルミになると何が変わるのか
アルミ溶接の中でも、薄板アルミは特に難易度が高い領域です。板厚が薄くなるほど、熱の影響を受けやすくなり、わずかな判断ミスが致命的な結果につながります。
薄板アルミでは、溶接中に穴が開いてしまうことがあります。これは技術不足というよりも、入熱量のバランスがほんのわずかでも崩れると起こる現象です。
また、歪みの問題も深刻です。溶接後に反りやねじれが発生すると、後から修正することはほぼ不可能です。無理に修正しようとすれば、素材そのものを傷めてしまいます。
そのため、薄板アルミ溶接では「溶接できるかどうか」ではなく、溶接後に狙った形状と精度を保てるかどうかが本質的な評価軸になります。
本当に溶接でなければいけないのか?
アルミ溶接の相談を受ける際、渡辺工業では最初に「本当に溶接が必要なのか」という点を確認します。これは、溶接技術に自信がないからではありません。むしろ逆で、溶接の難しさとリスクを理解しているからこそ、接合方法の選択を慎重に行います。
アルミ製品の接合方法には、溶接以外にもリベットやボルトによる機械的接合があります。場合によっては、これらの方法のほうが合理的で、安定した品質を得られることもあります。
例えば、気密性や水密性が求められない構造であり、将来的に分解や交換が想定されている場合には、リベット接合が有効な選択肢になります。また、薄板で歪みを極力避けたい場合にも、溶接よりリベットのほうが結果として良いケースがあります。
アルミ溶接が難しいからといって、常に溶接を避けるべきという話ではありません。重要なのは、溶接でなければ成立しない理由があるかどうかを整理することです。
それでも溶接が必要になるケース
一方で、明確に溶接でなければ成立しない製品も存在します。気密性や水密性が求められる筐体や装置では、リベット接合では限界があります。粉体や液体が内部を流れる構造では、わずかな隙間がトラブルの原因になります。
また、外観上、継ぎ目や接合部を見せたくない意匠部材の場合も、溶接が必要になります。一体構造としての剛性が求められるケースでも、溶接による接合が不可欠です。
薄板アルミにおいてこれらを成立させるには、単に溶接ができるだけでは足りません。歪みを抑え、外観と精度を同時に満たす技術が必要になります。
接合方法の選択こそが
アルミ加工の成否を分ける
薄板アルミでは、溶接を選んでも、リベットを選んでも簡単ではありません。どちらを選んだとしても、板金精度や加工精度がそのまま仕上がりに反映されます。
だからこそ、「とりあえず溶接」「とりあえずリベット」という判断は非常に危険です。用途、使用環境、外観要求、将来のメンテナンス性を整理したうえで、最適な接合方法を選ぶ必要があります。
この判断を誤ると、溶接してはいけない構造を溶接して歪ませてしまったり、リベットでは足りない部分を無理にまとめてしまったりといった失敗につながります。
渡辺工業が薄板アルミ溶接にこだわる理由
渡辺工業が薄板アルミ溶接を得意分野としているのは、難しいからこそ価値があると考えているからです。軽量化や意匠性が求められる分野では、薄板アルミは非常に魅力的な素材です。一方で、加工難易度が高いため、対応できる業者は限られます。
渡辺工業では、溶接を最終工程として捉えるのではなく、設計と板金加工の延長線上にある工程として考えています。曲げ精度を高め、隙間のない状態を作ったうえで溶接に入ることで、入熱を最小限に抑えます。
溶接順序や点付けの位置にも細心の注意を払い、歪みが出ないよう工程を組み立てます。
こうした積み重ねがあって初めて、薄板アルミ溶接は成立します。
アルミ溶接が得意な業者とは?
本当にアルミ溶接が得意な業者は、溶接そのものを売りにしません。溶接しない選択肢も含めて、最も安定する方法を提案します。
溶接でなければならない理由が明確な場合には、その難易度を理解したうえで引き受けます。逆に、溶接しないほうが良い場合には、その理由を説明します。
この姿勢こそが、薄板アルミ溶接を安心して任せられるかどうかの判断基準になります。
アルミ溶接でお困りの方へ
アルミ溶接は、一度失敗するとやり直しが難しい加工です。特に薄板アルミでは、判断の一つひとつが製品全体の品質を左右します。
だからこそ、単に「アルミ溶接ができますか」ではなく、
「なぜ溶接が必要なのか」「他の方法では成立しないのか」
という視点で相談できる業者を選ぶことが重要です。
渡辺工業では、薄板アルミ溶接に本気で向き合い、設計、板金加工、接合方法の選択まで含めた特注対応を行っています。
ポンチ図やラフ図があれば、そこから製作用図面を起こし、最適な方法を整理します。
アルミ溶接でお困りの際は、ぜひ一度ご相談ください。

茨城県筑西市井上1162-1