ステンレス材質について

ステンレス鋼は、鉄を主成分とし、クロムやニッケルを含む合金であり、耐食性や耐久性に優れた特性を持っています。特に、クロムが10.5%以上含まれることで、表面に不動態被膜が形成され、酸化を防ぎます。この特性により、ステンレスは錆びにくく、清掃が容易で、長期間にわたって美観を保つことができます。

渡辺工業ではステンレス材質の薄板板金加工に多くの実績とノウハウがあります。新規図面の試作や代替工法提案も積極的に行っております。
製品仕様や加工方法についてご不明点な点があればお気軽にご相談ください。

ステンレス材の利点

  • 耐食性: 酸や塩水に対する耐性が高く、食品加工や医療機器などの分野で広く使用されています。
  • 耐熱性: 高温環境でも安定した性能を発揮し、約800℃までの耐熱性があります。
  • 加工性: ステンレス鋼は、冷間加工が容易で、曲げや溶接、切断などの加工がしやすい特性を持っています。
  • 美観: 鏡面仕上げやヘアライン仕上げなど、外観の美しさを保つことができるため、建築やインテリアデザインでも人気です。

ステンレス材質の種類

ステンレス鋼は、主にオーステナイト系、フェライト系、マルテンサイト系に分類されます。ここでは、特に代表的なSUS304とSUS430について詳しく見ていきます。

2.1 SUS304

特徴と用途:

SUS304は、クロムを18%、ニッケルを8%含むオーステナイト系ステンレス鋼で、最も広く使用されている材質です。耐食性、加工性、溶接性に優れ、家庭用品から産業機器まで幅広い用途で利用されています。具体的な用途には、キッチン用具、建築部材、自動車部品、化学工業などがあります。

加工の難易度:

SUS304は、延性が高く、深絞りや曲げ加工が容易ですが、加工硬化が発生しやすく、切削加工には注意が必要です。特に、冷間加工では強度が増す一方で、加工が難しくなることがあります。

2.2 SUS430

特徴と用途:

SUS430は、クロムを18%含むフェライト系ステンレス鋼で、コストパフォーマンスに優れています。耐食性はSUS304に劣りますが、加工性が良く、主に厨房機器や家電部品、建築内装材などに使用されています。

SUS304との比較:

  • 耐食性: SUS304はSUS430よりも耐食性が高く、特に酸や塩水に対する耐性が優れています。
  • 価格: SUS430はニッケルを含まないため、コストが安く、経済的な選択肢として人気です。
  • 磁性: SUS430は磁性を持つため、磁場に影響を受ける環境での使用に適していますが、SUS304は非磁性です。

ステンレス薄板の加工方法

薄板のステンレス鋼は、さまざまな加工方法があり、用途に応じて適切な技術を選択することが重要です。

3.1 切断加工

使用する工具と技術:

切断加工には、レーザー切断、プラズマ切断、バンドソーなどが使用されます。特にレーザー切断は、高精度で複雑な形状の切断が可能です。

注意点:

切断時には、熱伝導率が低いため、工具に熱がこもりやすく、工具寿命が短くなることがあります。冷却剤を使用することで、熱を管理することが重要です。

3.2 曲げ加工

曲げ加工のプロセス:

曲げ加工は、プレス機やベンダーを使用して行います。材料を金型に挟み、圧力をかけて曲げる方法です。

必要な機器:

  • プレス機
  • ベンダー
  • 金型

3.3 穴あけ加工

穴あけの技術と注意点:

穴あけ加工には、ドリルやタップを使用します。ステンレス鋼は硬度が高いため、適切な切削速度と冷却を行うことが重要です。特に、ドリルの摩耗を防ぐために、切削油を使用することが推奨されます。

3.4 溶接加工

ステンレスの溶接特性:

SUS304は溶接性に優れていますが、熱が加わると粒界腐食が発生する可能性があるため、適切な溶接方法を選ぶことが重要です。

溶接方法の選択:

  • TIG溶接: 高品質な溶接が可能で、薄板の溶接に適しています。
  • MIG溶接: 生産性が高く、大量生産に向いています。

ステンレス薄板の表面処理

ステンレス薄板の表面処理は、耐食性や美観を向上させるために重要です。

4.1 鏡面加工

鏡面加工のプロセスと利点:

鏡面加工は、研磨剤を使用して表面を滑らかにし、光沢を出す方法です。この加工により、耐食性が向上し、清掃が容易になります。

4.2 ヘアライン加工

ヘアライン加工の特徴と用途:

ヘアライン加工は、細かい研磨目を付けることで、光沢を抑えた仕上がりになります。主に建材や家電製品に使用され、指紋や汚れが目立ちにくい特性があります。

鉄・アルミ・ステンレスの比較

  • 耐食性: ステンレス > アルミ > 鉄
  • 強度: ステンレス > 鉄 > アルミ
  • 加工性: アルミ > ステンレス > 鉄

ステンレスは、耐食性と強度に優れていますが、加工が難しいため、用途に応じて鉄やアルミと使い分けることが重要です。特に、腐食環境での使用や高温での耐久性が求められる場合には、ステンレスが最適な選択肢となります。